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2009 年度 実績報告書

ラクトン類の高効率・高精密重合を目指した複合化触媒の設計

研究課題

研究課題/領域番号 21550116
研究機関名古屋大学

研究代表者

野村 信嘉  名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教 (70291408)

キーワードカプロラクトン / ラクチド / 開環重合 / 反応制御 / 複合化触媒 / 相乗効果 / 精密重合 / リビング重合
研究概要

研究代表者は先に、2当量のサリチルアルドイミン配位子とトリエチルアルミニウムから容易に調製されるアルミニウム錯体1が、錯体1に対して1当量のベンジルアルコール存在下、ε-カプロラクトンに対して1%で極めて優れた重合触媒となることを報告した。NMRにより触媒の二次元構造は推定されていたものの、詳細は不明であった。今回、錯体のX線結晶構造解析により、ふたつの配位子のうち一方は二座配位子であるのに対し、もう一方の配位子は単座配位子であることが確認され、アルミニウムがテトラヘドラル構造であることを明らかにした。
重合機構の研究では、錯体1に対して1当量のベンジルアルコールを加えると、1当量のプロトン化された配位子が新たに生成し、また0.5当量の錯体1が残存していることが確認された。構造確認はできないものの、化学量論比から0.5当量のエチルアルミニウムジベンジルオキシド錯体が生成していると予想された。しかし、アルキルアルミニウムジアルコキシドは、これまで構造が明らかにされていない。このため、エチルアルミニウムジベンジルオキシドが不均化し、他の化合物、すなわち、ジエチルアルミニウムベンジルオキシドとアルミニウムトリベンジルオキシドの混合物が活性種となっている可能性もある。そこで重合系で生成している化合物、錯体1、配位子のプロトン化体、エチルアルミニウムジベンジルオキシド、その不均化体の可能性のあるジエチルアルミニウムベンジルオキシドとアルミニウムトリベンジルオキシドをそれぞれ、また各種組合せによりε-カプロラクトンを重合し、重合挙動を調べ、重合反応におけるそれぞれの化合物の役割を調べた。その結果、錯体1がルイス酸として、またエチルアルミニウムジベンジルオキシドが求核剤として機能し、二種類の錯体の共同作用により複合化触媒として効率的に重合が進行していることが証明された。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件) 産業財産権 (2件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] Random Copolymerization of ε-Caprolactone with Lactide Using a Homosalen-Al Complex2010

    • 著者名/発表者名
      Nobuyoshi Nomura
    • 雑誌名

      Journal of the American Chemical Society 132

      ページ: 1750-1751

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Direct Function Relationship between Isotacticity and Melting Temperature of Multiblock Stereocopolymer Poly(rac-Lactide)2009

    • 著者名/発表者名
      Nobuyoshi Nomura
    • 雑誌名

      Macromolecules 43

      ページ: 4907-4909

    • 査読あり
  • [学会発表] ε-カプロラクトンとラクチドとの共重合反応 ~触媒によるモノマーの反応性制御と材料設計~2009

    • 著者名/発表者名
      野村信嘉
    • 学会等名
      次世代ポリエステル材料設計研究会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2009-10-02
  • [学会発表] ホモサレンーアルミニウム触媒を用いたラクチドとカプロラクトンの制御された理想共重合2009

    • 著者名/発表者名
      秋田梓
    • 学会等名
      第58回高分子討論会
    • 発表場所
      熊本
    • 年月日
      2009-09-17
  • [学会発表] ホモサレンーアルミニウム触媒によるラクチドとカプロラクトンとの効率的な高ランダム性共重合体の合成2009

    • 著者名/発表者名
      秋田梓
    • 学会等名
      第58回高分子学会年次大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2009-05-28
  • [学会発表] ポリ(ラセミラクチド)のイソタクチック選択性と融点との相関2009

    • 著者名/発表者名
      長谷川潤
    • 学会等名
      第58回高分子学会年次大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2009-05-28
  • [備考]

    • URL

      http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~kobunshi/

  • [産業財産権] ラクチド'ε-カプロラクトン共重合体製造2010

    • 発明者名
      野村信嘉、小川亮平、秋田梓、水野光記
    • 権利者名
      名古屋大学
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2010/055470(WO)
    • 出願年月日
      2010-03-27
    • 外国
  • [産業財産権] 高分子配分子アルミニウム錯体及びポリラクチドの製造方法2009

    • 発明者名
      野村信嘉、長谷川潤、岸田央範
    • 権利者名
      名古屋大学・日立造船
    • 産業財産権番号
      特願2009-113273
    • 出願年月日
      2009-05-08

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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