研究概要 |
1)アクリジンやイミダゾールなどをピリジンの代わりに用いて、イオン対の共有結合化反応を検討したが、芳しい結果は得られなかった。また、ピリジニウムカルボキシレートの光反応を行ったが、未反応であった。そのため、これまでと同様に重合時の脱離成分はピリジンとし、ゲスト分子の利用とモノマー構造の工夫による目的の達成を検討した。 2)ゲスト分子によって結晶の空隙を埋めて安定化を図るため、トリメシン酸トリアニオンやピロメリット酸テトラアニオンとキシリレンジピリジニウムを組み合わせ、それに、ナフタレンなどをゲスト分子として加えて再結晶を行った。一部の組み合わせでは、共結晶が得られたが、加熱すると反応が起こる前に融解してしまい、固相重合とはならなかった。さらなる、ゲスト分子の探索が必要である。 3)平面状多官能モノマーでは、ベンゼン環の間に三重結合を導入してモノマーにより高い平面性を持たせた。その結果、1,3,5-トリス[4-(カルボキシフェニル)エチニル]ベンゼンをトリアニオンとして用い、キシリレンジピリジニウムと組み合わせから、ハニカム状結晶の作製を行ったところ、その溶液のキャストで微結晶からなる膜状物質が得られ、120℃に加熱することによって結晶性を保ったままポリエステルを与えることが、明らかとなった。この興味深い発見の詳細を検討中である。 4)テトラキス[4-(ピリジニウムメチル)フェニル]メタンを正四面体型テトラカチオンに用い、いくつかの芳香族ジカルボン酸と組み合わせて、ダイヤモンド型網目状ポリマーの合成を試みた。9,10-ジカルボキシアントラセンアニオンとのイオン結晶を190℃に加熱することによってエステルの形成が確認されたが、非結晶性のポリマーになっていることが判った。アダマンタン骨格を用いて正四面体構造を硬くすることを計画している。
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