研究概要 |
1)反応性部位を向き合うように配列させ、ジッパーを閉じるように連鎖的に重合が進行していくことによって、重合後も結晶におけるモノマー配置を維持することを考え、2官能性モノマーの構造設計を行った。その結果、1,8-置換アントラセン骨格をもったモノマーの重合では、結晶中のモノマー配置の規則構造を反映したと考えられる結晶性ポリエステルが得られることが判明した。 2)前年度に得られた知見を基に、3官能性平面状モノマーから平面ハニカム状構造ポリマーの合成を目指した。その結果、多くの例において、再結晶によって結晶化しない化合物が、そのMeOH溶液をキャストし風乾すうとフィルムを形成するという興味深い性質を発見した。そのフィルムは、異方性のものと、等方性のものがあった。異方性フィルムを重合すると、IRより反応の進行は確認できたが、XRD、偏光顕微鏡観察により、モノマーの規則構造は重合によって、完全に崩壊したことが判明した。 3)ダイヤモンド状構造ポリマーの合成を目指して設計した、アダマンタン骨格を導入した4官能性正四面体型モノマー結晶の重合では、得られたポリマーは、完全な非晶固体であった。モノマー自身の結晶性が悪く、空気下でゆっくり潮解した。 4)平面状4官能性モノマーとしてポルフィリン環を持ったモノマーを詳しく検討した。2官能性モノマーとの組み合わせで得られた結晶は、重合によって規則構造が壊れてしまった。一方、ポルフィリン環をもった4官能性カチオン-アニオンの組み合わせから得られたイオン結晶では、副反応なく重合が進行し、他のものに比べて、一番規則構造を保つことができた。また、このモノマーからはLB膜を作成でき、加熱によって超薄膜のポリエステルが得られた。.
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