研究課題/領域番号 |
21550120
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小柳津 研一 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (90277822)
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研究分担者 |
西出 宏之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90120930)
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キーワード | 機能性高分子 / 有機電池 / 電極活物質 / 電荷貯蔵 / ポリイミド |
研究概要 |
本研究は、イミド類およびキノン類を含む有機レドックス席の電子移動過程の確立を基盤として、エネルギー準位と還元状態の化学安定度をバランスさせる設計により、究極の密度でかつ安定にレドックス席を有するポリマーを幅広く合成することを目的とする。また、物質移動過程の解明と制御に基づく膜抵抗の低減により、ポリマー内での迅速かつ大容量の電子移動過程を達成することを目指す。さらに、イオン輸送性を高めた新しい活物質の設計により、電解質および電解液の大幅な削減を可能にする。これら基礎的追究から得られる知見を総含し、有機二次電池を構成する負極活物質として具体化する。本年度の成果を下記に列挙する。 (1)ポリマーの精密合尺と複合電極の特性評価 レドックス席間の電子的相互作用を遮断しうる非共役系の主鎖骨格を選択し、レドックス特性をポリマー膜として容量高く引き出せる構造をさらに展開した。成膜性、構造安定性、電気化学活性を総合的し詳価し、セミキノンラジカルの安定度の向上と、キンヒドロン生成の抑制が期待できる主鎖構造を絞り込んだ。 (2)ポリマー合成と特性評価 得られたモノマーから、レドックス部位をモノマー単位側鎖に有するポリマーを得た。例えば、アントラキノン置換ポリアクリルアミドは、対応するモノマーのアニオン重合またはキノン部位をし保護したモノマーのラジカル重合と続く脱保護により合成した。このポリマーは、ラジカル重合ではオリゴマーとして合成できることを実証しており、アニオン重合による高分了量化に加え、電位と電極反応速度定数の調節に働く置換基を導入した誘導体へ拡張した。生成ポリマーは各種分光法から構造決定するとともに、電気化学特性の基礎データを得た。酸化還元電位に相応した起電力発生、反応速度定数を反映した充放電レート特性を確かめ、試作セルで負極活物質としての安定性・耐久性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アントラキノンを例としてn型レドックスポリマーの具体例拡張とその特性実証が予想以上に進捗し、最終年度の計画に前倒しで着手している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策について計画変更を要する点または問題点は特になく、当初の計画に沿って順調に成果集積できる見込みである。
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