研究課題
1.ヘテロ接合型単結晶の育成有機ドナー分子に含ヨウ素TTF誘導体DIP(diiodo(pyrazino)tetrathiafulvalene)、対イオンにヘキサフルオロボスフェートアニオンを用いて育成した、大型の超分子有機伝導体単結晶を基板として採用した。二段目の電解溶媒として、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールまたは1-ブタノールのいずれかを用いることにより、ドナー分子と対アニオンの組み合わせが同じでありながら結晶に含まれる溶媒分子が途中から切り替わった、ヘテロ接合型単結晶の育成を試みた。様々な電解条件を検討したところ、結晶成長を随時モニターしつつ電極に流す電流値を適切に変化させることにより、目的としたヘテロ接合型単結晶を得ることに成功した。また、接合面の電子物性測定に向けて、結晶固定および配線接続方法の検討を行った。2.(DIP)_3(PF_6)_x(solvent)_yの組成比決定によるバンドフィリング変動の発見上記ヘテロ接合型単結晶の育成に用いた結晶系は、対アニオンと結晶溶媒がディスオーダーして取り込まれていることから、X線結晶構造解析のみでは正確な組成の見積もりが困難であった。そこで大型電解セルによる結晶の量産化とそれを用いた元素分析(炭素、水素、窒素、硫黄およびフッ素)を行い、その組成比を決定した。通常の三成分系有機伝導体とは異なり、結晶溶媒分子を変えることによって、ドナー:溶媒の比率のみならずドナー:アニオンの比率も変動する(=バンドフィリングが変動する)ことを見い出した。
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Physical Review B
巻: 83 ページ: "012505-1"-"012505-4"
電気学会論文誌
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