研究課題/領域番号 |
21550144
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
成田 榮一 岩手大学, 工学研究科, 教授 (20111255)
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研究分担者 |
平原 英俊 岩手大学, 工学研究科, 准教授 (30241491)
會澤 純雄 岩手大学, 工学研究科, 助教 (40333752)
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キーワード | 環境技術 / 環境材料 / 無機工業化学 / 有害化学物質 / 浄化 / 層状複水酸化物 / インターカレーション / フッ素系陰イオン界面活性剤 |
研究概要 |
本研究では、有害性が危惧されているフッ素系陰イオン界面活性剤のパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とパーフルオロオクタン酸(PFOA)を水溶液中で生成する層状複水酸化物(LDH)の層間に取り込むことにより捕集し、次いで得られたLDH複合体の加熱処理によりLDH層間でPFOSとPFOAを接触的熱分解(無害化)することを目的としている。平成21年度はMg-Al系でPFOSを、平成22年度は同じ系でPFOAを、そして平成23年度はMn-Al系とZn-Al系でPFOSとPFOAをそれぞれ取り上げ、共沈法によるLDH層間への取り込みについて定量的な検討を行った。すなわち、各二元系金属硝酸塩水溶液を調製し、これを上記界面活性剤水溶液(1~20mM)にかき混ぜながらゆっくり滴下した。この間、pHを調整し、金属イオンの加水分解反応を行ったところ、いずれの系においても、一段の操作で界面活性剤が生成LDHの層間に取り込まれることがわかった。これらの分析には、平成21年度に購入した全有機体炭素計を用いた。この際、XRDより底面面間隔d_<003>の異なった二種類のLDH複合体(d_<003>=2.5~2.8nmおよび1.0~1.1nm)と少量の界面活性剤-Na塩の生成が確認された。各種因子を変えて共沈実験を行った結果、最適除去条件は、pH8~10、温度25~40℃、Mg/Alモル比2であり、97%以上の除去率が得られた。最後に、生成したLDH複合体の加熱実験を行ったところ、LDH層間ではPFOSとPFOAが金属イオンの触媒作用により単独塩より40℃ほど低い温度で分解すること、C-F結合が比較的切れやすいことがわかり、熱分析により各系での熱分解の活性化エネルギーを得ることができた。 以上のように、3年間の研究によりLDHの層空間を活用するフッ素系汚染物質の無害化技術の基礎を確立することができた。
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