研究課題
感染症の場合には予防薬、治療薬とともに感染を迅速かつ精度良く診断することのできる手段の開発も望まれている。現在利用されている主要な検査方法では、検体中の感染症のウイルスや毒素を顕微鏡で直接観察している。そのため、ウイルス・毒素の増菌培養、対象物を選択分離、鑑別など時間のかかる複数の工程が必要となり、検査結果が判明するまでにおよそ4~6日要する。感染症の診断が遅れることにより、鳥インフルインフルエンザウイルスのように感染力の強い感染症の場合には感染者からの感染(二次感染)による被害が拡大し、パンデミック(世界規模での感染症の流行)を惹き起こしかねないため、迅速な感染症診断の手段が求められている。本研究では検体との混合により、瞬時に鳥インフルエンザウイルスの存在を診断できる新薬の開発を目指すものである。研究計画に基づき本年度は、ラクトース(Lac)を担持した6分岐型シロールデンドリマーとピーナッツレクチン(PNA)を用いて検出感度、検出温度と検出時間などの検査に適切な条件の探索を行った。その結果、検査温度は5度程度が最も効果的に検出ができ、検査時間は僅か5分でAIE効果による蛍光消光を利用したPNA検出が可能であることが判明した。更に、検出方法の改善を行ったところ、従来法に比べ約100倍の検出感度まで向上することが実験結果から分かった。この試験は、PNAを鳥インフルエンザウイルスの代わりに用いたものである。インフルエンザウイルス上には、およそ1000個のHAタンパクがあるため、鳥インフルエンザウイルスの検出では、更に1000倍の検出感度が向上することが推測される。現在、鳥インフルエンザウイルス検出薬となると見込まれるシアリルラクトースを担持させた6分岐型シロールデンドリマーの合成を実施している。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (21件) 図書 (1件)
Phys.Stat.Sol.(C)
巻: 8 ページ: 589-591
Jpn.J.Appl.Phys
巻: 49 ページ: 01AC05
Mol.Cryst.Liq.Cryst., 519
巻: 519 ページ: 206-212