本研究課題では遣伝子ベクターへの応用を目的としてDNAコンパクションセグメントを有する糖質高分子を合成を進めている。本年度はランダム共重合体のポリプレックス形成能の評価と可逆的付加開裂型連鎖移動(RAFT)用連鎖移動剤の合成および糖モノマーManEMAとDMAEMAのブロック共重合について研究を行った。 1. ランダム共重合体(poly (DMAEMA-stat-ManEMA))のポリプレックス形成能評価 平成21年度から進めていたDMAEMAと糖モノマーのランダム共重合体についてモノマー反応性比など重合性に関する評価を行った。さらに得られたpoly (DMAEM-stat-ManEMA)のポリプレックス形成能をプラスミドDNAを用いてゲルシフトアッセイにより評価した。その結果、ポリマー中のManEMAの組成FanEMAが0.1の場合においても生理的環境下では安定なポリプレックスを形成できないことが明らかとなった。これはポリプレックスの形成にはDMAEMAの長いモノマー連鎖(10以上)が必要であることを意味している。このことは糖モノマーを遺伝子ベクターに組み込むにはブロックポリマーにすることが必須であることを示している。 2. RAFT用連鎖移動剤の合成とブロック共重合体の合成 ブロックポリマーpolyDMAEMA-block-polyManEMAを合成するためにRAFT用連鎖移動剤CPADBを合成した。このCPADBを用いてDMAEMAおよびManEMAのホモ重合を行ったところ、分散度が1.2程度の分子量分布の狭いポリマーが得られた。しかし、その後の鎖延長反応において無視しできない量のデッドポリマーが生成していることが分かった。現在、重合の動力学とマクロ連鎖移動剤の単離方法を検討中である。
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