研究概要 |
研究への取組を通じて,複雑な生命鎖分子の疎水性を増大させ、イオン化とガス相への移動を促進する事が最大の課題として浮上した。そこで,分子検出を容易かつ確実にするための一般的前処理法を目指して基礎的な研究を行い、以下の成果を得た。 昨年度に引き続き,弱塩基条件下での水酸基のエーテル化法を確立した。この方法は,化学的な定法と比較すると高温を要求するものの,多くの官能基との共存可能であることを示すことができた。この結果は,官能基を保全するための条件として,温度よりもむしろpH条件が遙かに重要であることを示す結果である。また,既存の塩基性条件では困難である2級ハロゲン化物によるアルキル化も可能であることを明かにした。この様な誘導化は,質量分析による標的分子の立体識別への応用を行うための鍵となる反応になるものと考えている。無用媒系で瞬間的に強熱することにより誘導化を達成するプロセスは,新しい自動誘導化装置の開発にもつながると願が得られ,よりハイスループットな分析を可能にする鍵反応になるものと考えている。 一方,本反応から得られた知見に基づき,新たに,カチオン性の反応中間体の発生を制御に基づく,より強力な分子捕捉反応を見いだすこともできた。本反応は,未だ基礎的データ不足から,実証段階前の状態であるものの,反応性が高いカチオンの生成と反応を制御できるので,低温で早い反応が期待できる。また、酸性条件での試料調整は,MALDI-MS或いはLDI-MS分析条件に好都合な誘導法になるものと考えている。
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