1.モンパノキおよびハマゴウからのシガテラ毒解毒活性化合物の単離:平成21年度に喜界島産モンパノキの葉より単離した2種類のシガテラ毒解毒活性物質は、両化合物とも同じ3種の糖質が違う組成比で混ざった混合物であることが分かった。NMR等を用いた詳細な解析により、2種類の構成糖質はD-グルコースとD-フルクトースであることが分かった。もう1種類の構成糖質についてはケトースであることが分かっているが、詳細な構造については検討中である。D-グルコースとD-フルクトースついては個々で解毒活性を示さないことから、混合物の状態で活性を発現すると考えられる。鹿児島県吹上浜で採取したハマゴウは、モンパノキと同様に、水溶性画分に解毒活性を示した。 n-BuOH抽出物から単離された2種類のイリドイド配糖体は、弱いながらも解毒活性を示したことから、この2つの植物由来の解毒物質の正体は「糖質」である可能性が高い。 2.試料の採集および溶媒分画:新たな研究試料として、鹿児島県指宿産グンバイヒルガオの根と奄美大島産パパイヤの雄花からシガテラ毒解毒活性物質の探索を行った。両植物試料ともメタノール抽出後、溶媒分画を行った。その結果、両試料とも水溶性画分に加え、脂溶性画分にも活性が見られた。両化合物については、フラッシュクロマトグラフィー、ゲルろ過、および逆相HPLCにより分離精製を行っている。23年度も引き続き、解毒活性物質を探索する。 3.シガテラ毒解毒活性試験:マウス繊維芽細胞Neuro-2aを用いて細胞増殖試験の系を使い、発色試薬はWST-8を用いた。ベラトリジン、ウアバイン、ブレベトキシンの濃度は適宜、最適化し、Naチャンネル障害(過剰開放)を起こす条件を検討した。現段階では一次スクリーニングとして、薬用植物抽出物の濃度は各wellあたり0.1~1.0mg/mLでチャンネル開放抑制が見られたものについて更なる分離を進めた。
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