研究課題/領域番号 |
21550162
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
井上 晃 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (50109857)
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研究分担者 |
中嶋 弘一 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00227787)
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キーワード | S1-1 / スプラーシング制御 / Fas / アポトーシス関連遺伝子 / がん危険遺伝子 / 抗がん剤 / アイソフォーム1と2 / RBM10 |
研究概要 |
スプライシング因子の異常ががんやそのほかの疾病の原因になるという着想を得、これを証明する研究を行なってきた。本研究の具体的課題は本申請者が発見したS1-1(NCBIはRBM10の名でデータベース化)が新規のスプライシング因子であり、その異常発現が細胞のアポトーシスを抑制してがんの発生を引き起こす"がん危険遺伝子"であることを明らかにし、これを踏まえて、がん発生の新しい機構と新しいがん治療法の可能性を掲示することにある。平成21年度の成果は、・抗がん剤によるアポトーシス(細胞死)をS1-1が抑制した.一方、S1-1はスプライシングに対した調節作用を有する可能性が示唆された.そこで、さまざまなアポトーシス関連遺伝子に対するS1-1のスプライシング制御を調べた。その結果、S1-1はFas転写体のスプライシングを調節していることが判った(次項を参)。Fasはアポトーシスにおいて中心的に働く分子の1つである。 ・S-1は選択的スプライシングの調節因子であり、Fasの転写体に作用してそのエキソン6を除外することが判った。このmRNAの産物はアポトーシス阻害に働くことが既に知られている。しかもこの反応は、S1-1分子の大きい方のアイソフォーム1があずかるものであった。実際、これまでの成績はがん(培養)細胞ではこのアイソフォームが強く発現していることを示す。 以上、S1-1には2つの型があり、その1つのS1-1アイソフォーム1はアポトーシスを抑制する一方、スプライシングの調節因子であること、さらにスプライシング調節作用を介してアポトーシスの抑制を起こすことを明らかにした.目下とれらのデータの補完実験をし研究成果を早期に論文とすることを目指している。S1-1アイソフォーム2は逆方向に作用することが判ってきた。今年度はこの点をも研究する。
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