(1)新規クロスリンカーの合成(代表者):前年度までの研究で、DNA結合部位(psoralen)、転写因子結合部位((O^<6->benzylguanine)、両者をつなぐスペーサー(PEG)の3つの部位からなる新規クロスリンカーの合成法を確立した。最近、DNAと光照射により共有結合を形成する分子として、シアノビニルカルバゾールが報告された。そこで、psoralenの代わりにシアノビニルカルバゾールをDNA結合部位として持つクロスリンカーの合成を検討した。これまでの合成経路を有効利用することで、その合成経路を確立した。 (2)クロスリンカーとDNAとの光架橋反応(代表者、分担者):合成したクロスリンカーと蛍光標識した合成オリゴヌクレオチド(15~20塩基対)を混合し光照射したのち、アクリルアミドゲル電気泳動により反応結果を分析した。2本鎖DNAとクロスリンカーを様々なモル比で混合し、365nmの紫外線を照射したところ、2本鎖DNA:psoralenをDNA結合部位として持つクロスリンカー=1:1000の条件で、新たなバンドが出現することを確認した。一方シアノビニルカルバゾールをDNA結合部位として持つクロスリンカーでは、同じ条件で新たなバンドを確認できなかった。この結果は、psoralenをDNA結合部位として持つクロスリンカーが目的とする光反応を起こすことを示唆している。現在HPLCを用いて、光反応の進行を追跡する検討をおこなっており、この新たなバンドに含まれる化合物の構造を明らかにするため、反応生成物の単離に向けた実験を計画している。
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