研究課題/領域番号 |
21550165
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
堤内 要 中部大学, 応用生物学部, 准教授 (50329851)
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研究分担者 |
小林 猛 中部大学, 応用生物学部, 教授 (10043324)
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キーワード | 磁性ナノ粒子 / マグネタイト / 高温熱分解法 / 急性心筋梗塞 / 核磁気共鳴画像法(MRI) / 造影剤 / 標的指向性 / マクロファージ |
研究概要 |
本研究では、磁性ナノ粒子の調製法として高温熱分解法を検討した。はじめに、4-メチルカテコール(4-MC)存在下、鉄アセチルアセトンを高温熱分解することで、平均粒子系が10nm程度のマグネタイトナノ粒子(Fe_3O_4NPs)を得た。4-MC被服Fe_3O_4NPs(4-MC-Fe_3O_4NPs)は、さらに(1)Mannich反応を用いてγ-アミノ酪酸で修飾する方法や(2)N-ブロモコハク酸イミドを用いて臭素化し、エタノールアミンやPVPで修飾する方法、により水分散性を有し、糖質や抗体を結合しうるナノ粒子とした。マクロファージ指向性を付与するリガンド分子としてトリマンノースを置換する前に、単糖のグルコースや二糖のマルトースを置換したところ、水分散性が低下してしまったため、糖質の置換には更なる分子設計が必要であるとわかった。一方、抗体を結合した4-MC-Fe_3O_4NPsの予備検討として腫瘍細胞に対する抗体Herceptinを用いた実験も行った。2型ヒト上皮成長因子受容体(HER2)を強発現した細胞と弱発現した細胞で取り込み実験を行った結果、選択的な取り込みが認められたため、標的指向性マグネタイトナノ粒子としての有用性が確認できた。 これとは別に、リビングラジカル重合によりポリビニルピロリドン(PVP)を調製し、それを用いて鉄ペンタカルボニルを高温熱分解する実験も行った。これにより水分散性の高いナノ微粒子が得られたが、中性域でのリン酸緩衝液中では凝集してしまった。そこで、ビニルピロリドン(VP)とメチルメタクリラート(MMA)との共重合体を合成し、加水分解することで部分的に負電荷を有するVPとメタクリル酸ナトリウムとの共重合体(PVPMA)を調製した。PVPMAを用いて調製した微粒子は平均粒子径50nm程度であり、中性域でのリン酸緩衝液中でも良好な分散性を有することが判明した。
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