研究課題/領域番号 |
21550168
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
福岡 聰 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (40357885)
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研究分担者 |
伊藤 民武 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (00351742)
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キーワード | 抗菌ペプチド / リポ多糖 / リピドA / 表面増強ラマン散乱 / 単一分子解析 / 高次構造 / 胆汁酸 / リムルス試薬 |
研究概要 |
本研究では抗敗血症性の高活性抗菌剤開発を推進する。細菌表層複合糖の物理化学的なマクロ解析、及び、単一分子計測技術を応用し、定量的に評価する。細菌の生物活性発現複合糖のリポ多糖及びその脂質部分リピドAを用いる。 抗菌作用を示すマガイニン2やNK-リシンとそのアミノ酸の部分置換ペプチド及び細菌表層結合性の生体関連物質を作用させたときの、膜物性及び生物活性への影響を検討し、活性抑制の指針を得る。 平成23年度は、マガイニン2のグルタミン酸残基から4番目に位置するアラニン残基など一部のアミノ酸を、カルボキシルアミノ酸のアスパラギン酸やグルタミン酸などに置換したペプチドが、リポ多糖やリピドAに結合したときの相転移挙動や膜表面の電気状態変化を、各種分光スペクトルの測定や熱分析などにより調べた。表面増強ラマン分光法(SERS)によるリポ多糖とペプチドとの相互作用に関しては、金属微粒子凝集体-ラマン分光システムによりリポ多糖で凝集反応が誘導されるリムルス試薬を構成するタンパク質との組み合わせで評価可能なことを示した。 その結果、15位のアラニンをアスパラギン酸で置換したペプチドをリピドAに作用させた場合、電荷はアニオンで静電反発するにもかかわらず、膜結合性が高く膜物性も顕著に変化した。一方、カルボキシル基をアミド化しカチオン性にしたアスパラギンでは静電相互作用は強くなると期待されるが結合性は向上しなかった。また、カルボキシル基に結合するメチレン鎖が2個のグルタミン酸ではアスパラギン酸に比して低い結合性であった。以上の結果より、アミノ酸置換によるペプチドのコンフォメーション改変で細菌外膜との相互作用が変化し、生物活性の抑制・向上が制御可能なことが示唆されるなど、本年度の目標がほぼ達成された。
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