研究課題
ビスフェニルフルオレン化合物は、フルオレン骨格の9位の炭素上に2つのフェニル基が結合した"カルド構造"と呼ばれる等方的なベンゼン環配置により、高屈折率(1.62)及び低複屈折の光学特性を有している。電子情報の分野では、より高い屈折率材料が求められている現状の中で、ビスフェニルフルオレンに高屈折率金属酸化物をハイブリッド化することで、より大きな屈折率を達成でき、これらの有機無機ハイブリッドは新しい光学材料としてのアドバンテージが高い。平成22年度では、3つの合成法によって側鎖長や官能基の異なったテレケリックな末端アルコキシシリル化ビスフェニルフルオレンを合成し、それらとチタニウムアルコキシドのゾルゲル反応やハイブリッドの安定性について調べた。側鎖長が短い場合、カルド構造間の空隙が小さくなり、密度向上に伴う屈折率の増大が認められた。一方、鎖長が長い場合、屈折率はやや低下するものの膜特性は良くなった。本研究で開発したテレケリックなビスフェニルフルオレン含有シランカップリング剤は、親水性のシラノール(アルコキシシリル基)と疎水性のフルオレンが対照的に存在する"Janus"分子であり、親水性ナノ粒子の有機化表面処理剤として機能することを見いだした。ジルコニアナノ粒子表面と二つのアルコキシシラン基が結合可能な"デュアルサイト型シランカップリング剤"であり、その特異な構造を表面に修飾したジルコニアナノ粒子は、有機ポリマーマトリクスへの分散性を向上させることがわかった。ビスフェニルフルオレンモノマーに高分散でき、高屈折率ハイブリッド薄膜及び自立膜の作製が可能であった。
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