屈折率が2を超える高屈折率ガラスであるBaTi2O5やLa4Ti9O24組成ガラスは、無容器プロセスによる溶融・冷却によって、はじめてバルク状のガラスを得ることができる。これらのBaTi2O5やLa4Ti9O24ガラスを起点としたガラスの安定性の向上や屈折率の制御のための組成開発を行うことが本研究の目的である。平成23年度には、これまでの研究をさらに進めて、本研究で新たに見出したガラス系であるLa2O3-Nb2O5の2成分系に着目し、そのガラスの熱的安定性や、光学的性質の中で特に屈折率を中心に調査した。この2成分系では、ガラス化範囲は、La2O3の含有量で30mol%と60mol%を中心とする2つの領域にわかれていた。両系ともに、可視域の全域で透明で、屈折率が2を超える高い屈折率を示すことが確認できた。また、そのアッベ数は、20程度であることがわかった。これに対して、第3成分の添加効果を調査した。ガラス化範囲、屈折率やその波長依存性を調査した中で、Al2O3とTa2O5の添加は、その物性に大きな効果があることを見出した。A12O3の添加に伴って、ガラス転移点と結晶化開始温度の差が大きくなり、3成分系でガラス形成能の高い領域が存在することを見出した。屈折率は、添加量の増加に伴って減少したが、その波長依存性は小さくなり、アッベ数は、上昇することがわかった。La2O3-Nb2O5-A12O3系において、屈折率2.15、アッベ数31の特性を示すガラスを得ることができた。Ta2O5の添加では、ガラスの熱的性質に大きな変化は認められなかったが、屈折に関する特性は、Al2O3を添加した系よりも、優れていることがわかった。また、高い屈折率や低い波長依存性を示す要因を検討した。
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