構造規則性無機有機ハイブリッドメソ多孔体のビルディングブロックとして、非対称リンカーであるp-ホスホノフェニルトリアルコキシシラン(p-PPS)を合成した。p-PPSを塩酸により加水分解したp-PPS-Hと擬ベーマイトを原料とし、長鎖アルキル四級アンモニウム塩の及びTMAOHの存在下、水熱合成法により2Dヘキサゴナルの構造規則性を有するメソ構造体APSの合成に成功し、2Dヘキサゴナル構造をTEMでも確認した。MAS NMRよりAPS中ではp-PPSの骨格構造が保持されており、主にホスホネート基はA1と、シリコネート基は他のシリコネート基と縮合していることがわかった。また金属源としてジルコニウムプロポキシドを用いたところ、反応条件により2種のメソ構造体が得られ、Zr/PPS=1、100℃の反応により2Dヘキサゴナル構造のZPS-1、Zr/PPS=2、140℃ではラメラ構造のZPS-2が得られた。ともに、ZPS中のZr/PPS比は原料組成比と近く、MAS NMRでもp-PPSの骨格構造が保持されていることが確認された。同じ界面活性剤を用いて得られる同様の組成のメソ構造体では、ヘキサゴナル構造の方がラメラ構造より大きな構造周期を与えることが一般的であるが、本研究ではZPS-2の方がZPS-1より大きな構造周期を示した。これは細孔壁内のシリカ及びジルコノホスホネートの両ドメインの存在状態により、これらをリンクしているフェニレン基の配向状態が変わるため、層壁の厚さが大きく異なったためと考えられる。さらにAPS及びZPSの酸/有機溶媒抽出や焼成による界面活性剤除去を試みたが、メソ構造が崩壊し多孔体を得るには至らなかった。
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