研究概要 |
規則性メソ多孔体(MCM-41やSBA-15)やミクロ多孔体(ゼオライトなど)は,固体触媒など様々な分野で利用されるが,多孔体の粒子の形状を制御する研究については,あまり行われていない.本研究課題では,規則性メソ多孔体およびミクロ孔を有するゼオライトの内部に空間を形成させることにより,カプセルなど様々な形状の多孔体の合成,利用法を検討することを目的とする.平成22年度では,既に合成できることを報告した単分散球状中空メソ多孔体のシェル厚および細孔径の制御を行った. 中空メソ多孔体のシェル厚の制御を2種類の方法で行った.中空メソ多孔体の合成にはコアが親水性でシェルが疎水性のコア-シェル構造の球状メソ多孔体を用いた.このコア-シェル構造のメソ多孔体のコアを,炭酸ジメチルによるシリカ分解反応を用いて取り除いた.親水性のコアのみにシリカ分解反応の触媒であるアルカリ金属塩を担持し,その後に分解剤の炭酸ジメチルと反応させた.コア-シェル構造の多孔体のシェルの厚さを変えることによって,中空多孔体のシェル厚を調整することができた.また,2つ目の方法として,シリカ分解時にコアの部分以上,すなわちシェルの部分まで分解反応を行った.その結果,分解率を制御することによって,中空多孔体のシェル厚を調整することができた.また,メソ孔形成時に鋳型となる界面活性剤のアルキル基の長さを長くすることにより,細孔径の大きい中空メソ多孔体も得ることができた. 得られた中空メソ多孔体に薬物を内包し,徐放作用を示すかどうかを調べた.9-フェニルアントラセンを内包させて空気流下で薬物の放出速度を調べた.その結果,シリカゲルの細孔内に導入した薬物よりも遅く放出することがわかった.
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