研究概要 |
規則性メソ多孔体(MCM-41やSBA-15)やミクロ多孔体(ゼオライトなど)は,固体触媒など様々な分野で利用されている.これら多孔体の粒子の形状を制御することにより更なる高機能化が期待できる.本研究課題では,これらの多孔体の内部に空間を形成させることにより,カプセルなど様々な形状の多孔体の合成し,利用法を検討することを目的とする.平成23年度では,塩基処理による中空メソ多孔性シリカおよび中空メソ多孔性炭素の調製方法の検討を行った. 中空メソ多孔体の中空形成には,炭酸ジメチルによるシリカの分解反応を用いることを既に報告した.しかし,この方法は煩雑な手順が必要,且つ気相反応により調製するため大量合成には適していない.そこで,より簡便で大量合成に適した液相中でのアルカリ処理を用い,中空形成を行った.コアがメソ多孔性シリカでシェルがプロピル基を有するメソ多孔性シリカを用い,塩基としてアンモニア水を用いる方法が中空形成に適していた.しかし,アルカリ処理によりメソ孔の規則性が低下することがわかった.少量のヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩を添加することにより,メソ孔の規則性を低下させずに中空形成ができることを見出した. 中空メソ多孔性炭素を,中空メソ多孔性シリカを鋳型として用い合成した.鋳型の中空シリカには,炭酸ジメチル処理およびアルカリ処理により調製したものを用いた.これらの中空シリカにフェノールとパラホルムアルデヒドを担持し,加熱,炭化,フッ酸処理することによって,中空炭素を調製した.炭酸ジメチル処理により調製した中空シリカを鋳型に用いた場合,フッ酸処理によりシリカを除去すると中空部が消失し,中実の炭素が得られた.一方,アルカリ処理の場合には中空のメソ多孔性炭素が得られた.アルカリ処理ではシリカ細孔壁の一部が分解し,その部分にも炭素が形成されるため中空部が維持できると考えた.
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