研究概要 |
金属ガラスのうち基礎的知見を得るための研究モデルとしてPd系金属ガラスについて、また、燃料電池作動環境において耐食性の高いことを明らかにしたZr系金属ガラスに対象を絞って研究を進めている。Zr系金属ガラスのなかで、耐食性の高かったZr_<55>Al_<10>Ni_5Cu_<30>の薄膜形成をおこない、その結晶状態、合金組成、およびその電析挙動との関係を調べている。また、Pd系金属ガラスについては、前年度、金属ガラスとなる電析条件明らかにしたので、形成したPdNip金属ガラス薄膜の熱処理の影響について調べることを目的とした。 電析法によるZr系金属ガラスのZr_<55>Al_<10>Ni_5Cu_<30>薄膜形成の第一段階として、Zr, Al, Ni, Cu塩の合成を行った。合成した塩を24時間真空加熱することにより、7ppm程度まで脱水することができた。電気化学的に極めて卑な金属であるZrおよびAlを電析させるので、電解液としてイオン液体である1-エチル3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを充分に脱水して用いた。第二段階として、各々単味金属の析出挙動を調べた。ジルコニウム、アルミニウム、ニッケル、銅を含むイオン液体中で、それぞれサイクリックボルタンメトリーをおこなった後、定電位電解し、電析膜の形状を調べた。ニッケル、銅については、良好な金属皮膜が析出したが、ジルコニウムについては、応力が大である皮膜が析出した。これらの電流効率は10%程度と低かった。それぞれの合金析出条件および薄膜評価については、次年度で調べ明らかにする。また、PdNiP金属ガラス薄膜の熱処理の影響について調べたところ、バルクPdNiP金属ガラスと熱挙動が異なった。今後、この結果を精査する。
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