研究概要 |
新たに購入した光源を中心として、既存の反応系を改造して、光量測定装置、バンドパスフィルターを備えた光触媒反応装置を製作した。この装置を用いて、Rh-Cr/Zn-Ga2O3光触媒についての基礎的な測定を行った。その結果、この装置を用いた場合、水の完全分解活性は光量に一次に依存することが明らかとなった。 Ga2O3の調製条件を検討した結果、沈殿法により調製した水酸化物が凝集して顆粒状の粒子を形成し、それを焼成することで得られたα-Ga2O3が水の完全分解反応に対して高い光触媒活性を示すことが見出された。さらに、この方法で調製したβ-Ga2O3にZnイオンをドープしRh-Cr助触媒を組み合わせることにより、水の完全分解反応に対して、非常に高い活性を示すことが見出された。更に、アンモニア沈殿法の調製条件の最適化および尿素均一沈殿法による調製条件を検討し、尿素均一沈殿法で調製したGa2O3が水分解の光触媒として有効であることが判明した。 Rh-Crを助触媒とした時、Caイオンを添加することで水の完全分解反応に有効に作用することが判明した。このとき、Znイオンのドープ条件とCaイオン添加の条件は大きく異なり、CaイオンはGa2O3表面上に分布していることが示唆された。そこでZnイオンとCaイオンを共添加しRh-Cr助触媒を組み合わせたb-Ga2O3を水の完全分解反応に用いたところこれまでの最高活性である一時間当たりのH2生成量が25mmol, O2生成量が12.5mmolを示した。 Ba-Ta光触媒の錯体重合法による調製条件の検討を行った。特に、Ba, Taイオンを含んだクエン酸錯体重合体の熱分解温度に基づいた光触媒の構造に水の完全分解反応に対する光触媒活性は強く依存することが明らかとなった。さらに、この光触媒にRh-Cr助触媒とNi助触媒を共担持することにより、活性が著しく向上することが観測された。
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