研究概要 |
(1)酸化ガリウム光触媒水の完全分解反応に有効に作用できる酸化ガリウムの効率的調製法とキャラクタリゼーション: 調製に超純水(抵抗値:18.2MΩcm)を用いて、微量のCaイオンを含有した水を用いてアンモニア沈殿法で調製したGa_2O_3を用いて、ZnイオンドープGa_2O_3にRh_yCr_<2-y>O_3助触媒を組み合わせた光触媒が水の完全分解反応に対して、さらに活性が向上し内部照射型反応管中、450W高圧水銀灯照射下でH_2:30mmol/h, O_2:15mmol/hという非常に高い活性を示すことが観測された。光触媒の水の分解反応の量子収率を測定するシステムを改良して、光強度と光触媒活性、量子収率の関係を観測した。その結果、最も活性の高いRh_yCr_<2-y>O_3/Zn-Ga_2O_3の量子収率は70%を超え世界最高の効率を示すこと、量子収率は照射光の強度に依存し、強度の増大に伴って量子収率は増大すること。光触媒活性の照射光依存性は1.2次から1.6次の関係にあることが初めて観測された。 (2)タンタルおよびニオブを含有した酸化物光触媒の高活性化因子の解明: BaとTaの含有量が不定比である原料から合成したBa-Ta混合酸化物光触媒による水分解反応の結果から、微量の欠陥ペロブスカイトBa_<0.5>TaO_3が共存する結晶性の良いBaTa_2O_6を光触媒としたとき水の分解反応活性が向上することが判明した。この光触媒を錯体重合法で調製する場合、低温で前駆体を熱分解したイオン含有炭素の粉砕状態が大きく影響するため、遊星ボールミルにより粉砕し、粉砕条件の検討を行った。また、錯体重合法に用いる有機配位子をアミドに変化させ光触媒を調製し、調製された光触媒の状態と光触媒活性を検討した。 (3)チタン混合酸化物光触媒の水分解反応に対する高活性化: BaとTiの混合酸化物について、非化学量論比のBaとTiを含有したBaTi_4O_9を主相とする混合酸化物が水の分解反応に対して高い活性を示すことを見出した。詳細については、検討中である。 (4)研究の総括: 酸化物光触媒の高活性化に関してこれまでの結果を総合すると、バルクを金属イオンドープや欠陥酸化物と組み合わせることによる電荷分離の促進効果と表面での逆反応を効率よく抑制することが出来る助触媒を組み合わせることにより高活性化は可能である。高活性化への貢献は、バルク修飾と表面修飾が高活性化に同程度の役割を果たす。
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