研究概要 |
フェニレン(ph)部位をシリカメソ細孔骨格内に含有するHMM-phをM(CO)_6錯体[M=Cr, Mo, W]でCVD処理すると、C_6H_6M(CO)_3錯体に特有なIRピーク(1980, 1950-1800cm^-1)が観測され、ph部位とM(CO)_6錯体の反応を通して結晶性メソ細孔骨格内にphM(CO)_3錯体を含有する新規なHMM(HMM-phM(CO)_3)が創製できることを見いだした。これらHMM-phM(CO)_3の触媒活性について検討した結果、HMM-phM(CO)_3は、フェニルアセチレンや塩化ベンジルの重合反応、炭化水素の部分水素化反応、オレフィンの光メタセシス反応、2-chloro-2-methylbutaneの脱ハロゲン化水素反応に触媒活性を示すことが明らかとなった。UV-visおよびFT-IR測定の結果、HMM-phM(CO)_3上でのフェニルアセチレンの重合は、中心金属上での2+2環化付加による1adder型ポリマーの形成と、その後の開環反応を経由して進行することを明らかにした。HMM-phMo(CO)_3はHMM-phCr(CO)_3に比べて本反応に高い触媒活性を示した。中心金属とアレーン配位子の結合の強さはMo<<Crであることから、phMo(CO)_3上では、重合反応の開始ステップであるMo-ph間の配位結合の部分的解離と、その後のMoへのフェニルアセチレンの配位が起こり易く、反応活性がHMM-phCr(CO)_3に比較して高くなることが示唆された。さらに、HMM-phCr(CO)_3はシクロヘプタトリエンの部分水素化反応に触媒活性を有し、反応生成物としてほぼ100%の選択性でシクロヘプタジエンを与える高選択的な不均一系触媒として作用することを見いだした。
|