研究概要 |
金属クラスターと有機リンカーからなるMOF(Metal Qrganic Frameworks)の有機リンカー部のフェニレン基とM(CO)_6錯体[M=Cr,Mo,W]をCVD処理により反応させるとことで、MOF骨格内にphM(CO)_3錯体を構築できた。このようにphM(CO)_3錯体を骨格内に構築したMOFを不均一系触媒として用いると、2-chloro-2-methylbutaneの脱ハロゲン化水素反応やアルケンのエポキシ化反応が進行した。さらに、有機リンカー部のフェニレン基にアミノ基やハロゲン基などの各種官能基を導入すると触媒活性が変化し、特に、有機リンカー分子に電子供与性の高い官能基を修飾することで、触媒活性が向上することがわかった。また、分子径の大きい有機リンカー分子を用いて構築したZr-MOFでは細孔径が大きくなり、触媒活性が向上することを見出した。さらに、触媒の再利用性について検討した結果、シクロオクテンのエポキシ化反応では固定化した触媒が溶液中に溶出せず、触媒のくり返し利用が可能であることが示唆された。また、骨格中にフェニレン部位を有するメソポーラスシリカ(HMM-ph)のフェニレン部位とルテニウム錯体[(CH_3CN)_3Ru^+Cp]PF_6^-との間で配位子交換反応を行うことで、骨格中にルテニウム錯体(Ru^+Cp)を含有した無機有機ハイブリッドメソ多孔性材料(HMM-phRu^+CpPF_6^-)が調製できた。また、同様の配位子交換反応を用いると、カーボンナノチューブ(CNTs)上にもルテニウム錯体(Ru^+Cp)を固定化できた(CNTsRu^+CpPF_6^-)。これらルテニウム固定化触媒を高温での固-気相反応系に適用し末端アルキンのヒドロシリル化反応を試みたところ、Markovnikov付加体であるα-ビニルシランが高選択的に得られることを見いだした。
|