研究概要 |
「研究の目的」当該研究課題では、機械的特性、生体親和性に優れ、さらに骨芽細胞を誘導できる世界で初めての人工骨の開発を目指す。具体的な内容としては,ワンポットのシンプルなプロセスであるアノード酸化法により,ハイドロキシアパタイトナノ粒子を表面に固着させた厚膜型チタンアノード酸化皮膜材を作製し,この材料表面の細孔径を精密に制御するとともに、機械的特性、生体親和性、細胞誘導能の最適化を図る。さらには,本材料の動物埋め込み試験により生体適合性を評価して,ギブスの装着期間が半減するなど患者のQ0L(Quatity of Life)を大幅に改善するものを作製することである。 「研究実施計画」これまで,Ti板上に光感応性TiO2ゲル膜をパターニングした後,エッチングの有無によりアノード酸化される部分を制御できることを新たにみいだし,アノード酸化後の皮膜として20-100μmの精度で制御できることを明らかにした。本年度は,パターニング条件と生体親和性,生体適合性の関係について詳細に検討した。生体親和性は材料を擬似体液(SBF液)に所定時間浸漬させた後,材料表面に堆積したHAp微粒子の析出量、析出状態により評価したところ,孔径に関わらずハイドロキシアパタイトの固着量にともなって生体親和性は高くなった。さらに,高い生体親和性を有するハイドロキシアパタイト固着量の高いものの機械的特性を測定した結果,ビッカース硬度はハイドロキシアパタイト固着量とともに若干高くなったが,接着強度への依存性は見られなかった。最後に,動物埋入試験による生体適合性については,一部で実施しているものの,その細孔径依存性については結論を得ていない。
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