研究課題/領域番号 |
21550194
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研究機関 | 倉敷芸術科学大学 |
研究代表者 |
草野 圭弘 倉敷芸術科学大学, 芸術学部, 准教授 (40279039)
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研究分担者 |
高田 潤 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (60093259)
福原 実 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20150815)
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キーワード | セラミックス / 陶磁器 / 備前焼 / 酸化鉄 / 微構造 / 色調 |
研究概要 |
備前焼は紬薬を施さずに焼かれるが、焼成後の作品の表面には様々な色模様が現れる。これらの模様は、原料である鉄分を多く含む備前焼粘土と燃料として用いられる赤松の灰または作品の溶着防止材として用いられる稲ワラが反応することにより形成する。備前焼模様の中でも稀な模様である「金彩」および「銀彩」模様は、還元雰囲気下で稲ワラと焼成すると形成することから、作品表面に付着した炭素薄膜に起因すると考えられてきた。しかし、備前焼作家から提供された試料片について走査透過型電子顕微鏡観察を行った結果、炭素は検出されず、主な結晶相として酸化鉄が生成していることがわかった。「金彩」模様中には、約~5μmの板状のアルファ型酸化鉄(α-Fe_2O_3)結晶が凝集した粒子を形成していることがわかった。また、電子線回折の結果、これらの粒子は[0001]晶帯軸であり、非常常に配向性が高いことも明らかになった。一方、「銀彩」模様中には、約~3μmイプシロン型酸化鉄(ε-Fe_2O_3)が生成していることがわかった。更に、「銀彩」模様中には、スピネル(Mg(Al, Fe)_2O_4)が生成し、イプシロン型酸化鉄と結晶学的方位関係を有することがわかった。 「金・銀」模様は、備前焼粘土と稲ワラを焼成すると現れる。そこで、備前焼粘土のペレット状試料に稲ワラを置き、種々の酸素分圧下で焼成を行い、模様の再現を試みた。その結果、酸素分圧により鉄イオンの化学形態が変化し、試料表面の色も大きく変化することがわかった。今後、種々の熱処理条件下で試料を作製し、微構造と色調の関係を解明する。
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