研究概要 |
1)乱層構造炭素の調製とキャラクタリゼーション 石油コークスを1600℃、1700℃、1800℃でそれぞれ熱処理して結晶性の異なる乱層構造炭素を調製した。これらのX線構造パラメータ(格子面間隔と結晶子の大きさ)を学振法によって決定した。 2)乱層構造炭素へのカリウムドーピング(カーボンアロイの合成)と構造決定 これらの乱層構造炭素に真空下、300℃で金属カリウム蒸気を接触させてドーピングを行った。ドーピング濃度を変化させてKC_8~KC_<24>の間の組成を有するカーボンアロイを調製した。これらのカーボンアロイをベリリウム窓付きサンプルホルダーに真空下で移送し、X線回折測定を行って構造を決定した。 3)水素吸着アイソサームの決定 KC_<12>のH_2吸着等温線を決定したところ、熱処理温度が2600℃の石油コークスといった結晶性の良いホストの場合には飽和水素吸着量は約0.5で、KC_8-KC_<24>混合相モデルで予想される値と同じであった。熱処理温度の低下と共に水素吸着量が単調に増加した。一方、D_2吸着等温線では、熱処理温度が2600℃の場合にはH_2吸着挙動とほぼ同様であったが、2000℃,1700℃へと低下すると共に高圧側でのD_2吸着量が増加する傾向を示した。さらに1600℃,1500℃,1350℃と熱処理温度低下にともなって高圧側での吸着量が減少し、逆に低圧側での吸着量が増加した。最終的にKC_<12>(1700℃)が大きなH_2/D_2同位体効果を有することが見出された。 4)当該分野の調査と経過報告 本研究に密接に関連する研究現状調査と研究成果報告を、学会や研究機関訪問などの機会に行った。
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