研究課題/領域番号 |
21550199
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
吉田 孝 北見工業大学, 工学部, 教授 (40166955)
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研究分担者 |
中島 秀喜 聖マリアンナ医大, 医学部, 教授 (20192669)
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キーワード | インフルエンザ / アルキル鎖 / カードラン硫酸 / 疎水的相互作用 / 抗ウイルス性 / 吸着 / メンブランフィルター |
研究概要 |
これまでに合成および天然多糖類を硫酸化した硫酸化多糖は高い抗HIV作用を持つことを見出し、特に天然多糖カードランを硫酸化したカードラン硫酸は、低毒性であり高い抗HIV作用を示すことを明らかにした。作用機構は、硫酸基に由来する(-)電荷が、HIVのエンベロープタンパク質gp120の(+)電荷集中部位に静電的に相互作用してエイズウイルスがT細胞などへ感染することを阻害すると考えた。インフルエンザウイルスもエンベロープタンパク質を持つので、カードラン硫酸にイオン結合により長鎖アルキル鎖をイオン結合で導入し、疎水結合によりメンブレンフィルター表面に結合させた。インフルエンザウイルスに対して吸着効果があることを見出した。 すなわち、カードラン硫酸中にアルキル鎖が少ない割合(1本アルキル鎖/12~13糖鎖)で導入したものの抗HIV作用は、0.87μg/mlという高い活性を示した。アルキル鎖の割合が増えるに従い抗HIV作用は低下することが分かった。アルキル鎖導入カードラン硫酸(1本アルキル鎖/12~13糖鎖)1.5mgを細孔1μmのメンブレンフィルターに吸着されたものを3枚使うと選択的にインフルエンザAウイルスのHA価を最大1/32以下まで低下させ高い抑制力があることを見出した。インフルエンザBウイルスに顕著な効果は見られなかった。メンブレンフィルターにコートしたカードラン硫酸の表面は直径10μm以上の細孔がある。インフルエンザウイルスの大きさは一般的に0.1~0.4μm(100~400nm)なので、ろ過による抑制ではなくカードラン硫酸の吸着による抑制と考えた。次年度は作用メカニズムを検討し効果的なメンブランフィルターの作製について検討していく。
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