23年度は、22年度までの検討で確立したプローブ高分子の拡散係数測定による網目サイズ(ξ)の評価手法を利用して、網目構造を形成しているside-by-side凝集の平均糖鎖本数(N^<ag>)を見積もる方法を検討した。具体的には、アガロースゲルと脱アシルジェランゲルについて、プローブ分子のサイズ(R)を変動させてプローブ分子の拡散抑制の度合いD/D0を測定した。その結果、R<ξの領域ではD/D0=exp(-R/ξ)の関係式に従うが、R>ξとなると網目とプ、ローブ分子の絡み合いによりD/D0が極端に小さくなることが示された。また、ξの濃度依存性から、N^<ag>を見積もったところ、アガロースでは1から4%濃度において5~24本程度となり大きな濃度依存性を示したのに対して脱アシルジェランガムのゲルでは0.5%から2%濃度において12~15本程度とあまり変化しなかった。糖鎖にイオン基を持つ脱アシルジェランではイオン反発によって凝集本数が制限されたものと考えられる。このような詳細な網目構造の評価は、ゲルの力学物性やゲル内での物質拡散を理解するうえで重要な知見である。 マイクロMRIによる網目構造の観察では、分解能が数十μm程度の測定が可能となったが、構造は確認することは出来なかった。このオーダーでの構造は形成されていないと考えられる。また、低真空SEMによる網目構造の観察を試みたが大量の水を含んだ状態での測定では、網目に対応する構造は見られなかった。
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