有機半導体結晶の結晶成長を制御し、有機半導体結晶の結晶欠陥と有機薄膜トランジスタ中の伝導特性との関係を明らかにすることにより、有機トランジスタの特性を向上させることを目的とし、有機半導体薄の作製と構造及び特性の評価を行った。有機電界効果トランジスタにおいて、電荷キャリアは絶縁膜近傍の有機半導体の数分子層を流れるととから、核形成過程を含む薄膜形成初期過程を綿密に調査することは、有機半導鉢蒸着膜の特性を制御するために重要である。われわれは、有機半導体蒸着膜について、in-plane GIXDにより膜の成長過程のリアルタイム測定を行った。その中で、オリゴチオブェンの一種であるDH-DS2Tでは、1層目と2層目以降で分子間のパッキングが異なり、また大気に触れることによってその構造変化が加速することを明らかにした。また、ペンタセンでは、初期がら3次元的にアイランド成長し、2~3MLの厚みを持つアイランドの構造はより厚い膜のものと同じであることを明らかにするとともに、膜厚の増加にともなう多形転移の詳細を観察した。まだ、2次元検出器を用いた2D-GIXD測定により、サブモノレーヤの3次元構造や、ペンタセンの多形転移の詳細を解明に取り組み、さらに、大気暴露することなく作製しだ試料を2D-GIXD測定できる真空セルを作製し、真空一貫で有機半導体サブモノレーヤ超薄膜の2D-GIXD測定をできることを碓認した。その結果、初期膜で薄膜相として指数漬けすることが可能な回折パタンが観測され、膜厚20nmでは、バルク相特有の回折点が観察された。
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