研究課題
これまで、c面サファイア単結晶基板上に成長したc面窒化アルミニウム(AIN)単結晶薄膜を、水素を含む雰囲気で高温処理することで、AIN薄膜中を界面まで拡散した水素とサファイアが反応・分解して界面にボイドが形成されるメカニズムを解明した。このボイドを利用したc面(有極性)AIN単結晶厚膜の自発分離を実現し、深紫外光透過性を有するc面AIN自立基板の作製プロセスを確立した。平成23年度はc面サファイア基板上での検討と同様に、r面サファイア単結晶基板表面に成長したa面(無極性)AIN単結晶薄膜中の水素拡散による界面分解(ボイド形成)を調査し、ボイドの形状・密度制御を検討した。r面サファイア基板上では、c面サファイア基板上とは異なるAIN単結晶薄膜の配向様式に起因し、界面に形成されるボイドの形状・密度がc面サファイア基板上とは異なることが分かった。そこで熱処理条件のチューニングを行い、最終的にボイド形状・密度制御を可能とした。また、これまで検討していなかったm面サファイア単結晶基板表面におけるm面(無極性)AIN単結晶薄膜成長も試み、m面AIN単結晶薄膜の成長条件を確立し、界面ボイドの形成を達成した。これにより、各種面方位のサファイア単結晶基板を初期基板に用いた有極性(c面)、無極性(a面,m面)AIN単結晶基板の作製手法を完成させた。また、界面にボイドを形成したAIN単結晶薄膜/サファイア基板構造をGaN単結晶基板の作製に利用し、AIN厚膜を成長した場合のみならず、GaN厚膜単結晶を成長した場合にも成長層が冷却中に自発分離することを確認した。
すべて 2011
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Physica Status Solidi(c)
巻: Vol.8No.7-8 ページ: 2028-2030
DOI:10.1002/pssc.201000954
Japanese Journal of Applied Physics
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