研究概要 |
本研究の目的は、液中レーザアニールによるナノ粒子の蛍光強度増加の機構解明と工学的応用である。21年度にナノ粒子の液中でのレーザアニールの機構解明を明らかにしたことを受け、23年度も22年度に引き続き工学的応用に関する研究を中心に進めた。レーザをナノ粒子に照射してその特性を向上させる手法の工学的応用を考える上で、処理時間の短縮は重要であるため、ナノ粒子形成とレーザアニールを同時に行うことができると考えられる液中レーザアブレーションは本研究を飛躍的に進展させることができる。本年度はこれによるナノ粒子作製とその工学的応用の検討を中心に研究を推進した。 ・長残光ナノ粒了:励起光遮断後も発光し続ける長残光材料Sr2MgSi207:Eu,Dyをナノ粒了・化すると、比表面積増大により光学特性が低下することが明らかになったため、安定な無機材料であるSiO2による表面修飾を検討した。これにより表面欠陥保護が可能となり光学特性が改善できることを明らかにした。工学的応用において光学特性の改善は重要であり、様々な応用が可能となった。 ・アップコンバージョンナノ粒子:生体を透過する近赤外光を用いて励起が可能なアップコンバージョンナノ粒子Y203:Er,Ybを作製し、光学特性を評価した。レーザの照射エネルギー密度の増加と共に生成するナノ粒了・の粒径が増大することが明らかになった。これにより、各種工学的応用において重要である粒径制御が可能となった。また、ナノ粒了・化により発光スペクトルの赤色の割合が増加することが明らかとなった。通常の発光色である緑色に比べ生体透過性が高い赤色の割合が増したことは、イメージング等のバイオメディカル分野の応用を考える上で重要である。 ・半導体ナノ粒子:各種応用が期待されているInPナノ粒了・の作製を行い、粒径の溶媒依存性を明らかにした。また、副生成物として生成するInの生成機構を検討した。
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