研究概要 |
マイクロコンタクト・プリンティング(μCP)法による水平/垂直ナノドメイン・パターン光配向膜の作製技術を確立するため、以下の実験を行った。垂直光配向剤(アゾベンゼンを骨格構造に含む側鎖付ポリアミック酸:v-Azo-PAA)溶液をPDMSスタンプにインク付けする方法としてスピンコート法を採用し、その条件出しを行った。まず、パターンのないPDMSスタンプ上にv-Azo-PAA溶液をスピンコートしインク付けを行った。PDMSは撥水性シリコンゴムであるため、無処理のPDMSにはスピンコートできなかった。そこで、酸素プラズマ処理を行った後スピンコートしたところ、スピンコートによるインク付けに成功した。酸素プラズマ処理条件は40W,10秒で十分であった。高出力、長時間の酸素プラズマ処理はPDMSスタンプにダメージを与えるので、100W,60秒以下でおこなうことが望ましい。次に、光リソグラフィー技術を用いてシリコン基板上に20~125μmの市松模様のレジスト・パターンを形成し、それをマスターとしてPDMSスタンプを作製した。そのPDMSスタンプを用いて、ガラス基板上へのポリアミック酸(PAA)膜のパターン形成を試みた。ここではインク付け等の条件出しをするため、市販されているポリアミック酸(PAA)を用いた。まず、スピンコート法によりインク付けを行った。凹凸パターンのあるスタンプ(酸素プラズマ処理済)にPAA溶液をスピンコートした場合、乾燥過程でPAA溶液が凹部に移動して溜まっていき、凸部にPAA膜が残らないことが分かった。この問題を解決するために、PDMSスタンプ凸部のみにPAA溶液をインク付けすることが有効と考え、平らなガラス基板上にPAA溶液をスピンコートし、それをインク台として用いる方法を試みた。インク付けを行うためにPDMSスタンプを平らなインク台に乗せたとき、PDMSスタンプ凸部直下のPAA溶液が凹部へ移動するため、インク付けが再現性良く行えないことがわかった。スタンプ台表面の形状を工夫することが必要であると考えている。
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