研究概要 |
塩素系(siH_2c1_2/H_2)プラズマCVD法で作製したガラス基板上に堆積した微結晶シリコン(μc-Si:H:Cl)膜の高分子基板上への剥離・転写を利用してフレキシブル基板上の薄膜形成を検討した。具体的には、ガラス基板上にμc-Si:H:Cl膜を1-2μm厚堆積した後各種金属電極(A1,Ag,Cr)を設けた。その後スピンコート法でポリイミドを形成し、加熱乾燥した後カプトンテープでガラス基板から剥離した。その結果A1を裏面電極とした場合Si膜からの剥離に成功した。次にポリイミド上の剥離μc-Si:H:Cl膜に対して曲げ試験を行った。X線回折、ラマン分光で評価した結果結晶化率の低減、クラックの生成なく曲率半径が小さい領域まで維持できることがわかった。さらに曲率によってラマンのフォノンモードの低波数側へのシフトを確認した。またその上部に導電性高分子PEDOT:PSSを塗布した構造で変換効率3%を得た。以上の結果は、半導体Si膜の応力に対する光学・電気物性の制御に適用できる可能性を示唆する。一方同様の試験を有機太陽電池、ZnO:Alに対して行った結果効率は著しく低減した。有機系の場合には効率は1-2%に留まった。ZnO系ではクラックの発生が顕著であった。同時に結晶Si/スピンコートPEDOT:PSS接合素子で10-11%の効率を得た。以上の結果フレキシブル基板上での半導体Si/有機ハイブリッド素子の高性能化に対する指針を得た。
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