研究課題/領域番号 |
21560031
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
佐藤 哲也 山梨大学, クリーンエネルギー研究センター, 准教授 (60252011)
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研究分担者 |
中川 清和 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (40324181)
宮嶋 尚哉 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (20345698)
山中 淳二 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (20293441)
有元 圭介 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (30345699)
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キーワード | カーボン / 低速電子 / 欠陥密度 / アモルファス / トンネル / メタン / 極低温 / 水素原子 |
研究概要 |
研究目的 低速電子線誘起化学気相堆積法(EBICVD)と低温トンネル反応(LTTR)を併用した薄膜合成法により、水素化アモルファスカーボン(a-C:H)薄膜を極低温で合成し、結合水素濃度と欠陥密度および炭素ネットワーク構造との相関を明らかにする。 研究成果 メタンを原料ガスとして本製膜法で合成したカーボン膜は、従来のプラズマ気相堆積法(PECVD)に比べて遥かに低い結合水素濃度(C_H=1~6%)をもつこと、C_Hの制御によりsp^2/sp^3の比や光学バンドギャップ(Eg)を制御可能(0.9~2.5eV)とであることを示唆する結果が得られた。トリメチルボスフィン(TMP:P(CH_3)_3)とメタンの混合ガスを用いて、He放電の直流放電によりa-C:H薄膜を30Kで合成し、電子スピン共鳴法(ESR)により欠陥密度のTMP濃度依存性について調べた。TMPの濃度が1%の場合、欠陥密度は6.9×10^<17>cm^<-3>であり、TMPを添加しない場合に比べ約1/10に減少された。Pが膜中に微量取り込まれることで、C-Cネットワークの構造緩和に効果的であること、C-Cネットワーク中の欠陥が水素により、効果的に終端されていることがわかった。 膜内の水素濃度が1%と低い場合には、欠陥密度は10^<20>cm^<-3>と増大し、透過型電子顕微鏡によりグラファイト的な構造が観察されたのに対し、6%では大部分が非晶質であった。極低温の膜成長表面における水素濃度が、炭素ネットワークの構造や光学バンドギャップなど物性に重要な役割を果たしていることを示唆する結果が得られた。
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