研究概要 |
(1) 長周期ファイバグレーティング(LPFG)によるバンドパスフィルタ(BPF)の作製と特性評価本来,選択波長に損失を与えるノッチフィルタであるLPFGをBPFに変換した。ダブルクラッドファイバを用いてファイバコイルを形成することで入力光をクラッドモード光とし,その後段に機械的LPFGを形成し,コアモードへ選択的に光を戻すことでBPF応答を得た。LPFG周期の調整で任意波長を設定し,LPFG長により透過帯域幅を変えた。印加圧力に応じて透過光強度が上昇し,かつ温度に対してピーク波長が直線的にシフトすることを確認した。損失ピークではなく透過ピークの変化を利用するため,センサ単体としても,またレーザ共振器内波長チューナとしても有用となる。 (2) BPF仕様のLPFGを組み込んだファイバリングレーザの作製と特性評価 上記試作したBPF仕様LPFGをEr^<3+>添加ファイバでからなるリング共振器内に挿入し,フィルタ波長を動かすことで発振波長をCバンド内で制御した。LPFGへの圧力に応じて発振光強度が変化し,温度に応じて発振波長がシフトした。即ち,レーザ出力光の強度と波長の検知で圧力と温度のセンシングが行えた。 (3) Tm^<3+>添加ファイバリング共振器にLPFGを組み込んだシステム Tm^<3+>添加ファイバはEr^<3+>添加ファイバと比較して利得スペクトルがなだらかで且つ広帯域であるため,LPFGへの環境変化がレーザ発振特性に連続的に反映される。石英ファイバに添加したTm^<3+>は1.8-2μmに発光帯域を有する。LPFG周期を調整してコアークラッドモード間結合を1.8-2μm帯域に移動させたところ,隣接するLP_<11>およびLP_<12>クラッドモード間に透過帯域が生じ,それを用いて発振波長制御が行えた。Er^<3+>ファイバレーザと比較して広範囲で発振波長が可変とできた。今後,レーザ発振効率の向上とLPFGをセンサヘッドとして発振特性がどう変化するか研究を進める。
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