透明マントには、異方性媒質によるものと、等方性媒質によるものがある。異方性媒質による透明マントは、装置の境界における接続条件を考えることにより、透明マントの屈折率分布の設計をすることができる。 等方性媒質による透明マントにおいては、正負の屈折率をもつ媒質を組み合わせて、光を隠したい物体の周りに迂回させたときに伸びる経路を、実効的に短くすることができる。これは、正負の屈折率の組み合わせを用いると、空間を実効的に切り詰めることができるためである。この設計方法の場合、いくつかの異なる屈折率の媒質を組み合わせて設計される。そして、屈折率が不連続になる境界が存在するため、新たに境界値問題として解析をした。 また、通常の透明マントにおいては、屈折率が高い物質が必要になるために、実際に装置を作るのが難しいという側面がある。これに比べて、鏡の表面にくぼみを作って、実効的に平坦な鏡に見せることができるカーペットクローキングが考案されている。この装置は、より緩い屈折率条件で設計可能なために現実的である。今回、境界の形状を定める条件を2組の方程式に書き直した。それはパラメーターを含んだ式になっているために、近似を用いて、パラメーターを消去して、境界を定める関数式を導出した。 一方、最近、全方向からの光の入射に有効な完全な透明マントの代わりに、特定方向のみに有効な透明マントが考案されている。(例えば、6角形上で、特定6方向の光に対して有効な透明マントなど。)これは、もちろん完全な透明マントとは言えないが、光の方向が特定されているために、条件が緩くなり、光領域でも実現可能であることがわかってきている。この入射方向が制限された透明マントの設計についても解析を行った。
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