1.液晶ズームシステムの設計及び原理の実験検証を行った。 絶縁層を有し2電圧駆動により凸レンズ~凹レンズの間を連続的に可変できる液晶レンズを用いて、ズームレンズシステム装置を構成した場合について、液晶レンズのパワーが正から負(逆に負から正)に変化するという特性を利用し、光線追跡方法などにより三倍程度のズーム比の達成を目標として最適な液晶レンズ及びズームシステムの設計を行った。この設計に基づき、液晶ズームレンズシステムを構築し、実験により原理の検証を行った。 2.積層構造の薄層液晶を有する液晶レンズを作製した。 極薄中間ガラス基板を用いて、積層構造の薄層液晶を有する液晶レンズを作製した。液晶層の厚みを最小15ミクロンまで薄くすることができ、液晶レンズの応答時間を200ms程度まで改善することが可能となった。 3.高抵抗層を挿入した液晶レンズを試作した。 液晶層とパターン電極の間の絶縁層の中に高抵抗層を挿入し、軸対称の不均一電界を静電的に中継することで絶縁層の厚みを減少させるという原理について理論解析を試みた。高抵抗層の使用及び100ミクロンのガラス基板を使用することによって、焦点可変レンズとして最も薄い厚みが230ミクロンの液晶レンズを試作した。レンズの開口径は1.8mm程度である。使用したガラス基板の厚みが減少することに伴って駆動電圧も従来の70V程度から24Vまで低下した。 4.円柱形穴を有する誘電体を用いた液晶レンズの特性のシミュレーションを行ったが、高抵抗層を有する液晶レンズがより優位性があることが示された。
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