研究課題/領域番号 |
21560050
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
渡部 謙一 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (50358389)
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研究分担者 |
高見澤 昭文 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (50462833)
保坂 一元 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (50462859)
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キーワード | イオントラップ / 冷却原子ビーム / 実用原子時計 |
研究概要 |
冷却原子とイオンの相互作用によるイオン冷却と状態選択・状態検出を採用した、従来の水素メーザーなどに置き換わる全く新しい実用原子時計の開発を行うため、今年度は、Rb冷却原子ビームの光ポンピング用レーザーの安定化及びYb+イオントラップ装置の改良を行った。 レーザーの安定化に関しては、レーザーのパワー制御、及び周波数安定化を行った。レーザーは、1590nm DFBレーザーよりファイバー結合導波路型の非線形光学結晶(PPLN)牽用いて第2高調波の795nm(Rb D1線)を発生するシステムである。PPLNを透過する基本波SHGのパワー変動が大きいため、音響光学素子(AOM)の1次光を分岐して、Rbセルの吸収線検出用と制御用の光に分け、パワーの制御を行った。制御ループ全体のゲインは3~4倍、PID装置のゲインは6~8倍、積分回路の時定数は1秒、AOMのドライブには約0.5Vの電圧を印加した。これよりパワー変動は、約1/200に減少した。また、ロックインアンプによるDFBレーザーの周波数変調、ファンクションジェネレーターによる周波数の掃引により、Rb原子の一次微分信号を検出して、吸収信号への周波数安定化を行った。その結果、周波数変動を17MHz程度に抑えることができた。 イオントラップ装置の改良に関しては、イオンを軸上にトラップできるリニアトラップ、及びそれを収納するための真空槽について、次の設計・製作を行った。1)多数のイオンをトラップするために、電極をステンレス製の16重極構造とした。2)イオントラップ電極、Ybオーブン、電子銃、及びそれらの配線を共通の電流導入端子付フランジに取り付けた構造にして、真空槽への脱着を容易にした。3)イオンとの荷電交換によりイオン化された原子の検出に関して、S/N比を高くするために、二次電子増倍器を、イオントラップ用電極の後方のRb原子の蛍光を検出する部分に取り付け、相互作用から検出までの距離を短くした。
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