新規な光源としてパラメトリックX線(Parametric X-ray Radiation : PXR)を用いた位相コントラストイメージング法を確立することを目的として研究を進めている。 PXRは1/γ(γ:ローレンツ因子)の角度発散を有することがその特徴の1つであるが、このため日本大学電子線利用研究施設におけるPXRビームラインではX線取りだし窓位置で約φ100mmの大面積ビームが得られる。特に広い照射面積を必要とする医療分野等への応用を考えた場合、数μm~数mm程度のビーム径である放射光等の既存光源に対してPXRは優位の光源になり得ると考え、大面積を利用したラウエ配置での回折強調法(DEI : Diffraction Enhanced Imaging)による位相コントラストイメージングを試みている。 本年度はまずPXRの基礎特性調査として通常のBragg配置によるDEIを行い、非平面波であるPXRで位相コントラストイメージングが可能であることを確認した。 ラウエ配置DEIの試みでは、最初に市販のシリコンウェハーをアナライザ結晶として用いて測定を行ったが、予想どおり結晶の設置による歪の影響が著しく均質な画像を得ることは困難であった。そこで結晶自立型のアナライザ結晶を新規に設計し作製した。このアナライザ結晶を用いた光学系を組み立てたところ、まだ結晶傾きの調整など問題点が残っているものの歪の影響は大幅に低減され、画像化が可能なレベルまで向上した。現在は問題点の解決を図るとともに空間分解能・位相分解能をはじめとする光学系の評価を進めている。
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