新規な光源としてパラメトリックX線(Parametric X-ray Radiation:PXR)を用いた位相コントラストイメージング法を確立することを目的として研究を進めている。 PXRは1/γ(γ:ローレンツ因子)の角度発散を有することがその特徴の1つであるが、このため日本大学電子線利用研究施設におけるPXRビームラインではX線取り出し窓位置で約φ100mmの大面積ビームが得られる。特に広い照射面積を必要とする医療分野等への応用に適切であると考え、大面積を利用したラウエ配置での回折強調法(DEI:Diffraction Enhanced Imaging)による位相コントラストイメージングを試みている。 本年度は独自に設計した結晶自立型のアナライザ結晶を用いたラウエ配置DEIを行った。光学系の調整方法などの問題を解決し、結晶の設置による歪の影響を大幅に低減することで画像化が可能なレベルまで向上した。E=17.5keVのX線を用いた場合、通常のブラッグ配置DEI光学系では幅110mmのアナライザ結晶を用いても視野幅は12mm程度であるが、ラウエ配置にすることによって今回のアナライザ結晶(幅60mm)では約5倍の視野幅を確保できた。PXRは水平方向に線形エネルギー分散があり、現状の光学系では20eV/mm程度と見積もれる。このエネルギー分散は試料の屈折率に空間依存性を生じさせ、延いては位相コントラスト像に影響する可能性があるため、実際の測定と計算から影響の大きさを検討している。同時に補正方法の開発も進めている。
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