冷却・加熱対象物を旧来の2次元的広がりから0次元的微小物体をターゲットとし、このため、使用する針状材料の点接触に適応した微細加工が行った。材料にはステンレスあるいは銅を用い、物体と接触する針状部に毒性は無い。最適な針状部の形状やサイズを、有限要素法によりシミュレーションを行い、実測と比較することでフィードバックを行った。 PN間に金属を単純に挟んだだけでは、接触電気抵抗・熱抵抗が大きく、抵抗による熱損失が勝り、吸熱は生じない。そこで、低融点金属(GaやInの合金)あるいは導電性ポリマーなどの、密着性が良い電極を介在することによる抵抗の低減を目指し、-77℃の低温を実現した。 また、提案した素子の時定数(電流投入後の冷却温度速度)を計算により見積もった。時定数は、素子全体の熱容量に対して、i)電流が運ぶペルチェ吸熱(あるいは発熱)、ii)熱伝導、およびiii)ジュール熱の三種の量が効いてくることを見出し、これにより、冷却時の最小時定数として1秒、加熱時でも2秒を期待できることがわかった。
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