研究課題
パルス超音波と核生成サイト供給のための粒子・気泡添加を組み合わせることで超音波化学反応の高効率化を実現することを主な目的として以下の検討を行った。超音波化学反応場に適量かつ適切なサイズの気泡を添加すると、反応に有効な膨張収縮するアクティブ気泡が増えて反応量増加をもたらす。今回二流体ノズルで微小気泡添加の下で音響発光強度を測定し、超音波周波数、超音波パワー、投入気泡量の最適化条件等を探索した。微小気泡を添加しながら測定した音響発光強度の結果から、周波数と気泡添加条件の選択により気泡サイズを最適化でき、気泡無添加に比べて高強度の発光が得られることがわかった。超音波周波数Fと気泡の共鳴半径Rの間にはF・R=3の関係があることは知られており、この関係が示唆するとおりの気泡サイズを、対応する周波数の音場中に投入することが肝要であることが明らかとなった点は、大変意義深い。このようにパルス超音波により休止時間で気泡が溶解する特徴を生かして気泡核を制御することに成功した。また、超音波化学反応の指標として観測された音響化学発光と、超音波霧化を同時に発生させるべく選択したパルス波のデューティサイクル条件下で、発生した霧の映像化を行うとともに連続波駆動時の霧の生成の様子との違いを明確にすることができた。超音波パワーが増大するにつれて、音場中の気泡量が増加し、よって気泡による音波の吸収、散乱に伴い音圧振幅を低下させる可能性がある。パワーを増大させたときに音圧振幅の直線的増加が緩やかとなる条件の、1Wよりも低いパワーにおいて、気泡が発生、存在していることを映像化して音圧低下との対応を確認することができた。レーザ散乱による気泡の膨張収縮の検出をおこなう中で、定在波の音圧の腹の面内では気泡群の分布はあまり変わらない一方で気泡数が変動することを明らかにした。
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