研究概要 |
多体問題を解析するために通常の時間積分法を用いると、計算時間(CPU時間)は概ね粒于数の三乗に比例する。三乗のうち、二乗は粒子間力の計算に必要で、残りの一乗は時間積分にかかる時間である。この種の解析を高速化するために、これまでは粒子間力の計算のために、精度をできるだけ落とさないアルゴリズム、あるいは専用ハードウエアが開発されている。本研究で提案している二体相互作用近似(Binary Interaction Approximation : BIA)では、粒子間相互作用を二体問題の重ねあわせで近似するため計算時間は原理的に粒子数の二乗でしか増えない。また、本アルゴリズムは粒子ごとに完全並列化が可能であるため、究極的(利用できるCPUあるいはGPUのコア数に制限がなければ)には粒子数の一乗に比例した解析が可能である。 前年度までに、二体の相対運動が双曲線(全エネルギが正)の場合と楕円(全エネルギが負)の場合のコードに加え、放物線の場合(全エネルギが零)のコード整備を行った。これらのコードは全てCPU上で走る逐次コードとGPU上で走る並列コードを選択できるようになっている。また、前年度までは、扱う粒子種は単一の「同種粒子」しか扱えなかったが、今年度は、粒子ごとに質量・電荷を設定できるように変更した。 その成果の一部は第21回国際土岐コンファレンス(たとえばT.Kamei, S. Oikawa, and M. Goto : Application of the Binary Interaction Approximation to Plasma Oscillation. およびM. Goto, S. Oikawa, and Kamei : Accuracy Assurance in Binary Interaction Approximation for N-body Problems. )で発表し、Plasma Fusion Res. 誌に投稿中である。
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