研究概要 |
本研究の目的はナビエ・ストークス方程式に射影演算子法を適用して,平均流に関するモデル方程式を導き,乱流の平均流を評価することである.このモデル方程式は工学上よく用いられるK-eモデルなどとは違って未定パラメーターを含まないことを特徴とする.その準備的な研究として,平成21年度は1次元乱流である蔵本・シバシンスキー方程式において,ある物理量の時間相関関数と記憶関数の相似性の仮定をして,時間相関関数に関する閉じた方程式(相似近似方程式)を得た.この相似近似方程式から得られる時間相関関数と蔵本・シバシンスキー方程式を直接数値計算して得られる時間相関関数とは非常によく一致した.このことから,相似性の仮定の妥当性の高いことがわかった. 平成22年度はナビエ・ストークス乱流に射影演算子法を適用にして,蔵本・シバシンスキー方程式の場合と同様の相似性の仮定をして時間相関関数に関する閉じた方程式(相似近似方程式)の導出を試みた.ここで,ナビエ・ストークス乱流として最も対称性の良い3次元一様等方性乱流を扱った.しかし,射影演算子を一様等方性乱流に適用したが,通常の射影演算子は一様等方性乱流の圧縮性条件により,うまく射影演算子を定義できないことがわかった.これを解決する二つの方法,1)小さいながらも圧縮性があるとして,最後にそれをゼロに近づけること,2)別の射影演算子を使うことを考えている.これらは平成23年度に実施する予定である.
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