研究概要 |
本年度の主な成果は,1)非負行列因子分解のための修正乗法型更新アルゴリズムの開発,2)非負制約付き凸2次計画問題のための修正乗法型更新アルゴリズムの開発,3)ネットワーク最大流問題に関係する非線形回路網の大域漸近安定性の証明,4)代数的連結度最大グラフの特徴付け,5)クラスター係数最大または極大グラフの特徴付け,である.1)については,非負行列因子分解の誤差にユークリッド距離を用いる場合とダイバージェンスを用いる場合の両方について検討し,従来法の問題点を解決する修正乗法型更新アルゴリズムを提案し,その大域収束性を理論的に証明した.2)では,非負制約付き凸2次計画問題の解法として他の研究者によって提案された乗法型更新アルゴリズムの問題点を明らかにし,それを解決する修正アルゴリズムを提案するとともに,大域収束性を理論的に証明した.3)は昨年度の成果を再検討したものであり,証明における一部の誤りを修正した上で雑誌論文として発表した.4)では,星グラフ,閉路グラフ,完全2部グラフ,正則グラフ等のグラフについて,それらが代数的連結度最大グラフであるための十分条件を導出した.また,5)では,まず,与えられた頂点数と辺数の下でグラフのクラスター係数を最大化する問題について,昨年度までに得られた成果をまとめて雑誌論文として発表した.次に,与えられた頂点数と次数列の下でクラスター係数を最大にするグラフを求める問題について検討し,いくつかの特徴的なグラフがその性質を満足することを理論的に証明した.
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