| 研究概要 |
本年度は,昨年度までに開発したCFRP積層複合材料構造解析用の拡張有限要素法(XFEM)解析プログラム(XSOLID)を用いた実証計算を実施するとともに,これまで開発したX-FEMに基づく応力解析プログラムに,結合力モデル(Cohesive ZoneModel: CZM)を導入する方法についても検討した。CZMは,応力に基づく損傷発生,エネルギーに基づくき裂進展をモデル化できるので,初期き裂やはく離が与えられていない実機構造物の強度評価に有効な方法と考えられる.本研究では,とくに接着構造を有するCFRP複合材料構造への適用することを目的として,CZMを昨年度までに開発した二次元XFEMコードに導入した.これにより開発コードを用いて線形破壊力学(LEFM)に基づく方法だけではなくCZMに基づく方法を用いたき裂進展解析も可能となった.CZMでは,き裂先端において応力特異性が消失するので,本研究の開発コードにおいては,このような特徴を適切にモデル化できるTIP要素を開発し導入した.XFEMは有限要素メッシュと独立にき裂やはく離を定義できるので,XFEMに基づく解析コードの実行を制御することにより,単一の有限要素モデルを準備すれば,要素再分割を行わずに,き裂やはく離の進展解析の実施が可能になることを実証した.このようなXFEMを用いた二次元き裂進展解析システムを開発し,従来の漸近解基底関数を拡充したXFEMとヘビサイド関数だけを拡充したXFEMによるき裂進展経路の差異について検討した.その結果,比較的細かいメッシュ分割を用いれば,両者の差異は小さく,TIP要素を用いても十分妥当な結果が得られることを確認した.以上の研究成果の一部は,学会講演会で発表を行った.
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