研究課題
優決定最小二乗問題に対する内部反復左前処理を用いた一般化最小残差(GMRES)法を開発した。特に、内部反復として、正規方程式に対して逐次過緩和法(SOR法)を適用するのに等価な、NR-SOR法が有効である。この前処理法はメモリと計算量が少なくて済み、収束の加速効果も優れている。また、SOR法の過緩和パラメタωの最適値を自動的に推定する方法も提案した。悪条件及びランク落ちを含む問題で数値実験を行い、手法の有効性を検証した。これらの成果を英文誌に投稿した。次に、ランク落ちの場合も含めた同手法の理論を解明した。特に、内部反復の反復行列がsemi-convergentであれば、提案手法が最小二乗解に破綻せずに収束することを示した。これは、例えば、内部反復としてNR-SOR法を用い、緩和係数ωを0<ω<2の範囲で選べば条件を満たす。さらに、反復行列の固有値分布と収束速度の関係も解析した。また、劣決定問題に対しても、内部反復左前処理を用いた一般化最小残差(GMRES)法が、inconsistentな最小二乗問題に対しても有効であることを数値実験により示し、最小ノルム解への収束に関する理論解析を行った。一方、電子顕微鏡の画像再構成に関する逆問題に対して上記のようなアルゴリズムを適用することを検討した。手法としては、反復のリスタートの度に非負制約を課し、2階差分の演算子による正則化を行うことにより、モデル問題に対しては比較的良い画像の再構成ができた。また、開発した劣決定逆問題に対するCluster Newton法に関する研究成果をまとめて英論文誌に投稿した。
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Advances in Computational Mathematics
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http://researchmap.jp/KenHayami/
http://research.nii.ac.jp/~hayami/index-j.htm