研究概要 |
これまで,工業的に有利な特徴を有する燃焼炎によるダイヤモンド合成により,合成ダイヤモンドと金属基板との接合強度の高い合成法を確立してきた.本研究では,この方法を応用して,燃焼炎により界面はく離を抑制しながらダイヤモンド結晶のナノ結晶化を行った皮膜をタングステンカーバイド(WC)基板上に合成し,その接合強度の定量化を行うことを目的としている.昨年度は,基礎実験としてモリブデン(Mo)基板上への燃焼炎によるナノ結晶ダイヤモンド皮膜の合成,接着の可能性について検討した,今年度は,昨年度得られた合成条件を基にWC基板上への燃焼炎によるナノ結晶ダイヤモンド皮膜の合成,接着の可能性について検討した.この際,アセチレン純度が高い高純度アセチレンを用い窒素を高純度アセチレン-酸素ガスに添加し,窒素添加流量を変化させ合成を行った.また,燃焼炎の白心から基板表面までの距離を定め,合成中に皮膜表面温度を段階的に変化させる方法を用いて合成を行い,ナノ結晶ダイヤモンドの合成が可能かどうか確かめた.さらに,ダイヤモンドを合成する前にWC基板の前処理である化学処理を行い,基板表面の粗さならびに基板表面の形態を変化させ合成を行った.この際,前処理である化学処理の時間を変化させ合成を行い,ナノ結晶ダイヤモンドの合成にどのような影響を与えるか検討を行った.その結果,最適な窒素添加流量ならびに基板の前処理時間において,WC基板上のマイクロダイヤモンド結晶上にナノ結晶ダイヤモンドを合成することが可能となった.さらに,これらのパラメータを変化させることで,合成されたナノ結晶ダイヤモンドの形態が変化することを確認した.また,ナノ結晶ダイヤモンド皮膜の引っかき試験によるダイヤモンド皮膜の接合強度の定量化を行うため,引っかき試験装置の製作の前準備を行った
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