まず、以前に行ったAuナノ粒子とAuナノ粒子、Cuナノ粒子とCuナノ粒子、Auナノ粒子とCuナノ粒子の合体過程のシミュレーションにおける時間きざみ幅の影響を検討した。その結果、0.1~1fsの範囲内の時間きざみであれば、個々のナノ粒子に対する十分な平衡化計算の後の合体シミュレーションにより得られる合体後のナノ粒子の形態は、時間きざみ幅の大きさの影響を受けないことが分かった。 次に、高温における高強度、酸化抵抗、高い生成エネルギーなどの優れた特性を有するNiAl合金の生成法として注目されているNiナノ粒子とAlナノ粒子の自己伝播高温合成(SHS)反応によるNi-Al合金粒子形成の予備的シミュレーションを行った。SHSプロセスでは、反応物質と生成物質の両方が凝縮相であり、気相物質が生じない発熱反応である点で、通常の燃焼反応とは異なっており、推進剤や起爆剤などとしての応用が期待されている。合体前のナノ粒子のサイズとしては原子数309個、561個の2種類を考え、同一サイズのNiナノ粒子とAlナノ粒子に対してそれぞれ一定温度での平衡化を行った。その温度での安定構造を得たのち、両ナノ粒子を相互作用する距離まで近づけて合体を開始させた。その結果、Auナノ粒子とCuナノ粒子の合体の場合と同様に、合体後のナノ粒子の形態は、エピタキシャル構造、コアシェル構造、合金構造の3種類に分類されることが分かった。
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